7月 恵比寿「くろいわ」

先日7/19に行われた、日本酒応援団 究極の名店シリーズ 「恵比寿くろいわ」7月の模様です。

今回は岡山KAMOGATAの蔵元・丸本さんが特別ゲストに登場。

丸本さんから、直接、米作りやお酒造りのこだわり、KAMOGATAのいろいろな楽しみ方などを教えていただき、いつもとはまた違う盛り上がりを見せました。

7月で1番大きな行事と言えば、五節句の一つでもある「七夕」。

元々は字の上達を願うというのが七夕。大きなイモの葉に溜まる朝露で炭を刷り、文字を書くと字が上達する、と言われ、短冊に文字を書いたことが七夕の由来だそう。


月ごとのおしるしということで、今回は七夕にちなんだ一献で乾杯です。

日本酒をベースにその中で里芋の茎、根っこなどで煮だし、フランベで旨味を出した飲み物が用意されました。

酒器による味わいの違いもポイント。

左から、千葉県の八千代切子・陶器の備前焼・磁器の九谷焼・岩手の川連塗・江戸切子。

それぞれのタイミングで、合うものを使っていきます。


「ワインに比べて、日本酒は器で楽しむ意識がまだまだ低いのが残念なところ。

形も違えば素材も違うというのがやはり日本にしかない素晴らしい文化なので、そこをぜひ体感してみてください」 と黒岩さん。


<先付け> 土用の日に、涼やかな "水玉水晶"

水晶のように仕上げるために吉野葛を練りあげ、それぞれ、伊勢海老、ウニ、枝豆の3種類が入っています。

見ているだけで涼くなるような、夏らしい先付け。金魚すくいのように、すくっていただきます。

隣は、少し酸っぱめに仕上げたというスダチ酢。


「これはぜひ丸元さんの最高の日本酒と楽しんでいけたら。もうこれで十分贅沢なんですけど、個人的には僕やっぱり開けて3週間ぐらいで合わせて欲しい。その方が食中には合うのかなという思いがあります」と黒岩さん。


<お椀>お出汁と酒のマリアージュ

1番のおススメの組み合わせだという、日本が誇るお出汁とお酒のマリアージュ。

黒岩さんが作るお出汁は、調味料を1滴も使いません。お椀の中は、うなぎの一夜干しと冬瓜です。

「このときは封切より1か月ないし3日。この辺りでいっていただきたいですね。」

お出汁とKAMOGATAを交互にいただき口の中でマリアージュして、その中で、少しづつ変わる味わいを楽しみます。

「ちゃんとしたお出汁とちゃんとしたお酒っていうのは仲良く手をつなぐことができる。

日本酒って、塩舐めて酒を飲むっていう話しもあったじゃないですか。そうじゃないよっていうのをプロとして伝えていきたいなと思っています 」


<向付け> AGEOとハモの炭焼き。

ハモの新しい食べ方で一同が驚いたのがこちらのお料理。

「炭の上に直接乗せたハモの香りとAGEOの香りの組み合わせを楽しんで楽しんでいただこうかなと。

基本的には何もつけず、炭の香りだけでいってみてください。ハモが白くなったあたりを狙っていただくと良いかと思います」

AGEOの序盤の甘みとフルーティな香り、後半のドライな味わいが、ハモの旨みと炭の香ばしさと驚くほどマッチします。

ハモのように切りられたタコは、たっぷりのわさびと梅酢でいただきます。


 スパークリングのお酒「丸本酒造 泡々酒(ほうほうしゅ)」と カキ

丸本さんが自社で出されているスパークリングのお酒「泡々酒」です。

原料はお米とお水以外基本的には使わず、 製造方法は、シャンパーニュ法ではなくシャルマー法という、ビールのような充填方法。  

瓶はイタリアから、スコルテはフランスから輸入、細部にもこだわっています。  

一緒にいただくのは、今が旬の岩牡蠣。石川県の能登産です。

基本的に岩牡蠣は生で食べますが、おいしければおいしいほど、えぐみが口に残る加減があるそうで、それをなくすためにさっと火を入れる、”焼き霜づくり”という仕立てで頂きます。 


「この時期の牡蠣が十分美味いので、何もしなくたっていいくらいなんですけど、そういう時はお酒が大事になってくるんですよね」と黒岩さん。  

クリーミーで濃厚な牡蠣に、スパークリングのドライな口当たりと軽快な喉越しさが加わります。 


黒岩カクテル 泡々酒の蓼酢ソース割

 黒岩さんのマイブームだという、絶品黒岩カクテル。 

鮎が出回るこの時期につかわれる蓼酢(たです)を使ったカクテルです。 

 蓼酢はおかゆでとろみをつけ、そこにお酢を混ぜ込んで作られます。 

 「当然日本酒もコメですからもう合わないないわけがないというところで、よくキュウリのカクテルとかありますけど、そんなような感覚。こういうのも遊びとしたらいいのかなと」 

暑い夏の日にぴったりの爽快な味わいです。  


 <焼き物>KAKEYAと焼きナス  

茄子と言うと田楽。
京都などでは白い田楽が乗ってることが多いですが、今回は白い田楽と赤い田楽と両方です。
赤い田楽はお肉で少ししゃぶしゃぶのような形でいただきます。 

隣にあるのは鮎を白味噌で和えたもの。

KAKEYA 開封後一か月で少し香りを落ち着かせたものをキンキンに冷やして合わせます。茄子の自然な甘みを引き立てます。

   

八寸とNOTO  

7月7日は七夕の節句。その少し名残に当たるお料理になります。
どれもお酒に合う品々ばかり。いつにも増して豪華に振舞われました。 


合わせるのはNOTO。パワフルな旨みとキレのある酸味がお料理と調和します。

旨みが強いお料理には、1ヶ月や1週間たった少し落ち着いたNOTOがおすすめです。  

・すっぽん 

夏のすっぽんになります。 油もしっかり乗っていて、中には子が入っているようなものもいます。
 しっかり炊き上げ、黒岩さん自家製のお味噌と少し合わせながら、香ばしく杉板と一緒に焼いています。

 ・コハダ  

ハモのように骨切りをしているコハダです。 少し軽く酢で絞めて昆布を巻き上げ、その加減でいただきます。
すっぽんのお出汁は氷の中で冷やしています。中に少し生姜も入れ、爽やかに。

 ・ゴマ豆腐  

ガラスの四角の器が胡麻豆腐になります。 白い胡麻豆腐は昔ながらの手法で、ゴマの成分だけ抽出して、しっかりしぼりあげた成分から作ったゴマ豆腐です。
黒岩さん自作の柚子胡椒とあわせていただきました。 

 ・白玉団子

 朝顔の少しカラフルな器は、トマトのお出汁に白玉団子。 和食の世界でもよく使う透明なお出汁をさわやかにいただきました。 

 ・雑魚唐辛子  

笹の船の器は、雑魚唐辛子というじゃこと万願寺の炒め物と、へしこと言う鯖のぬか漬け。 お酒に合わせて少し珍味じみたものになります。 

・キュウリ 

 かわいらしいキュウリ。これも、夏の風情です。 お花がまたかわいらしくおいしいです。

 ・薩摩の丸十  

薩摩の丸十(まるじゅう)というさつまいもです。 少し甘く炊いてますので、お口直しのような感じでいただきます。 

 ・モロッコ豆  

小さいのがモロッコ豆。 お椀に入ってたお花の実がこちらの豆になります。 えごまでお味噌を作り和え物にしてますので、ごろっと漬けているお豆もそのままパクっといただきます。

 ・明日葉 

小さな器が明日葉というお野菜。少し包丁で叩いて、ごまと一緒に炊きあげたもので、そのままでも何かお野菜と合わせても美味しいです。

 自分のお皿に取るときも、飾り付けをしてみるのが八寸の楽しみ方だそう。センスが問われるそうです。 


「お料理は、2週間の献立で変わっていきます。
二十四節気でやらせていただいてますので、こういう風に変わりながら。
次は9月9日の重陽の節句っていう五節句の一つ。そう言ったのを迎えながら、徐々に風情を変えながら。 
今7月なんでまだ氷使ってますけど、僕の世界は8月は初秋になってます。5、6、7月が夏です」  

 アワビのご飯

最後はアワビのご飯で締めです。
炊きたてのご飯に、肝とアワビをたっぷり入り、豪華な仕立てです。


この日も、参加者の皆様と素晴らしい時間に酔いしれました。 7月のもう一つの記事では、岡山の丸本酒造の丸本さんをゲストに迎え、KAMOGATAについて詳しくレポートします。   







 





日本酒応援団 Nihonshu Oendan

都内有数の料理人とのコラボイベント「予約の取れない名店シリーズ」や、地域食材と日本酒を楽しむ「LOCAL NIGHT」など、 日本酒応援団が開催する、日本酒イベントの様子をお届けします。

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