6月 恵比寿「くろいわ」後編
6月の「恵比寿くろいわ」レポート後半です。
レポートの前編はこちら。
<八寸> KUNISAKI別格純米とのペアリング
「昔は娯楽がないから、食事をとることとか何か行事を設けることで、そこに向かっていきましょうっていうのがあったんですね。
その時に6月の30日という日を設けて、そこまでまず一生懸命生きよう、という日が、”夏越(なごし)の大祓”。
残りの半分をしっかり生きるために、この半分の部分を悪いもの祓いましょうとか、そういったところです」
茅の輪(ちのわ)くぐりのように、手を通して悪いものを祓ってもらおうと、
黒岩さんオリジナルの竹の茅の輪(ちのわ)が飾り付けに。
「今日は茅輪くぐりにに見立て、竹をくるっと編んでみました。中に手を入れてもらって、手ぐらい邪気を祓おうかなと。笑」
お豆腐は水無月豆腐。
無病息災を祈願する神事で用いられる6月の代表的な和菓子です。
「三角形に半分に切ってあるのは、1年の半分ということで豆腐を半分に切るという意味と、氷の形を意味しています。
この上に必ず乗ってなきゃいけないものが小豆。
お赤飯をお祝いの時に食べますね。なんでお赤飯を食べるかって言うと、理由は小豆の赤が邪気を祓って、いいものを取り込むんです」
日本料理の一つ一つの由縁を、丁寧に教えてくださる黒岩さん。みな興味深く聞き入ります。
力強いNOTOは実はお燗でも楽しめる
ここで黒岩さんが出してきたのは、NOTOを40℃まで温めた、ぬる燗。
「冷たいものばっかりのだと、やっぱり口が飽きてくる。味が違っても温度が一緒だと同じなんですよ。
温度が違うと舌の違うとこに入りますよね。
違うところだと疲れてないのでゼロからスタートになる。だから美味しく感じます」
NOTOがお燗向きなのはそのパワフルな味わいと話します。
「NOTOは、なんですかね、芯がある。ぶれないなっていうお酒の味がする。力強い酒じゃないとね、燗はやっぱり。」
さらに、NOTOを一度80度ぐらいまで上げ、氷で10°まで一気に下げて飲むという楽しみ方も。
「アルコールが飛ぶ準備をするギリギリまであげて、これでも負けないってのがこういうNOTOみたいなもの。
日本酒は唯一、割らずに温度を変えるだけで楽しめるお酒なんです」
口の中をこれまでのNOTOとはまた違う、優しい旨味が包みます。
炊き合わせとKAKEYAで締めくくり。
最後に優しい味わいの冷し鉢。わらび、山ウド、冬瓜に少しのお肉。
手でひんやりと冷たさを感じます。
「もうおなかと口は、大分満腹になってると思いますんで、
手で冷たさを感じながら冷たいお料理を挟んで行こうと思います。
ここぐらいまで来ると、お酒はKAKEYAくらいが良いと思います」
他のお酒に比べると、主張が控えめなKAKEYA。
すっきりと優しい味わいが最後に体に染み渡ります。
鮎天丼と柚子胡椒、心もお腹も満腹に。
ご飯も進み、最後に黒岩さんのサプライズ。
揚げた鮎をのせた鮎天丼が登場し、参加者一同興奮。
秘伝のたれは注ぎたし10年とのこと。
今宵もくろいわでのひとときに酔いしれました。
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