6月 恵比寿「くろいわ」前編

先日6/14に行われた日本酒応援団 究極の名店シリーズ

「恵比寿くろいわ」6月の模様です。

今回のハイライトは何と言っても鮎(あゆ)。

いけすで直前まで泳いでいた新鮮な鮎が目の前で調理されます。興奮の参加者の様子は後半でレポート。


90点をめざす。無ろ過生原酒は美味しすぎる。

ペアリングコースはすべて日本酒応援団のお酒のみ。

各銘柄、開けて「1週間」「1ヶ月」、その場で開封する「封切り」の3つを用意しました。


「封を切ったばかりのものは実はおいしすぎてしまう」と黒岩さん。

「 "フレンチは足し算、中華は掛け算、和食は引き算" といって、基本的に和食は90点の料理を目指します。

大事なのは一度100点を作り、そこから10点を引くということ。

その、下げたところに対して料理やお酒が入って100点になるということです」

「日本酒も、そんな理由で封切をします。1か月経つと角が取れ、口が何か少し欲しい気がします。

そこに、お料理をどうぞ、というのが日本料理の世界ですね」


「無ろ過生原酒も、どうしても封を切ったばかりのその香りが美味しいイメージが強いですけども、少し角を落として欲しいんです。

一升瓶にしても、1番最後の1合が一番美味しい」


生酒は開けてすぐに飲んだ方が良い、そんなイメージを持っていた参加者は黒岩さんの言葉に聞き入ります。

いよいよペアリングコースの紹介です。


<おしるし>はお近づきの挨拶。

食前酒のことで、日本料理では『おしるし』。

これには、「お近づきの "お印" 」という意味があります。

「お酒を受ける際に手と手が近づき握手のような形になる。

"今日はよろしくお願いします” そういった気持ちで、店とお客様の乾杯になっています」


通常は日本酒ですがこの日は日本酒とみりんに、よもぎを入れてフランベしたものを。

よもぎの香りを入れることによって、この時期の邪気を払います。


<先付け> 新潟 NAGAOKA 純米大吟醸 とのペアリング

涼やかなガラスの器、上に1枚葉っぱが乗ってるのは6-7月の風情 ”葉蓋” 。

葉蓋は暑中に用いられ、涼味を演出します。

中は青梅とアワビのしゃぶしゃぶ。

さっぱりとした青梅と、上品でキレのあるNAGAOKAが心地よく喉を通ります。

これにおすすめなのが、NAGAOKAの開封後1ヵ月。

「封を切ったばかりのはぴちぴち。これだと十分においしすぎちゃう。

1か月のものを合わせてみてください。ちょっと口が何か欲しい気がしませんか?」


マリアージュする部分の余白があることが重要。言葉通りの味わいに、一同納得です。


<お椀> 岡山 KAMOGATA純米大吟醸とのペアリング

鱧(ハモ)の吸物に、丸々とした京都茄子。

「この時期の鱧は "走り" 。

これから日本は夏に入りますから、本番の夏が来る前に鱧の生命力を取り入れるためのお椀です」

「この時期に、例えば鱧の照り焼きをだしてくる料理は申し訳ないけど修行不足。

理由とすると、焼くというのは油落とす、旨味を落とすという作業しているからです」


「今は旨味をいかに閉じ込めるかっていう料理。

周りを叩いて屑を打って、少し湯がいて鱧の出汁をとって。

いかに鱧を美味しく食べるか。旨味をどれだけ逃がさないかっていう手法なんです」

「ちょっとここでね、KAMOGATAは封切りを少し飲んでみてください。

ちょっと味がありすぎる感じ分かります?ここまで要らないかなって。

このお出汁だったらもう、1ヶ月とか1週間とか少し寝かしてるぐらいがいいんですよ」


「これは人間の味覚以外に、舌にも乗った感覚としても、落ち着いていないと雑味という風にもなるわけです。

出汁と旨味の距離感と言うか、悪く言えば雑味。よく言えばそれがフレッシュ感というとこになるんですが、この場合はいらないですよね」


<向付> 石川 NOTO純米大吟醸とのペアリング

お刺身は、アコウ、マスノスケ。

野蒜(のびる)を漬け込んだ野蒜酢というお酢に、わさびを溶いていただきます。

右は、口の中で溶ける伊勢海老。

時期としては後半、言わゆる名残の時期で旨味が強く、筋が強くなってくるので、少し叩き、

その周りに白板昆布でくるりと巻いて。すだちで頂きます。

NOTOは、ちょっとパワーがあると思いますんで、このすっきりした刺身はこのフレッシュでピチピチのNOTOで行ってみてください。

伊勢海老の方は逆に旨味が強いので、1か月や1週間の少し落ち着いたNOTOとどうぞ」

料理に合わせて、ガラリと印象を変えるNOTO。

パワフルな旨味がありながら、一歩引いて料理をしっかりと引き立てます。


<焼き物> 埼玉 AGEO純米大吟醸とのペアリング

いけすから出したばかりの活きた鮎が、目の前に登場しました。

串をさし、綺麗な曲線を描きながら焼きあがります。

お粥と一緒に和えた蓼酢(たです)ソースとAGEOでいただきます。

頭からほうばると、頭はさっくり、尾っぽに行くとしっとり、身はふんわり。

「鮎の中には、人間もそうですけど油と水分が入ってます。

この油と水分を、体の中で二つに分けてあげます」

「単純に斜めにすることによって、油は熱い方に流れ、水分は蒸発をするために上に上がっていく。

頭はいわゆる揚げ焼き。尾っぽは水分が溜まってきますんで蒸し焼き。

なので、鮎っていうのは頭と尾っぽとで全く焼き加減って違うはずなんですけど、一気に美味しく食べるためにこのように調理する、これが面白いところですね」


蓼ソースのカクテル!?AGEOオリジナルの飲み方が登場。

「ちょっとここで一つ遊びを。先ほどの蓼のソースに、ちょっとAGEOを入れます。

よくきゅうりのカクテルとかありますよね。蓼ってすごく日本酒に合いまして、火入れの酒よりも生酒の酒の方がうまい」

これが飲んでみると驚きの美味しさ!

夏の暑い日にごくごく飲みたくなる、スポーツドリンクのような爽やかな味わいです。

酸味のあるメロンやスイカなどのフルーツとも相性の良いAGEO。

蓼ソースとペアリングされるのも納得です。


参加者からは、市販化してほしいと口々に声が上がりました。


後半に続く。

日本酒応援団 Nihonshu Oendan

都内有数の料理人とのコラボイベント「予約の取れない名店シリーズ」や、地域食材と日本酒を楽しむ「LOCAL NIGHT」など、 日本酒応援団が開催する、日本酒イベントの様子をお届けします。

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